二学期の中間テストの結果が出そろいました。
いくつかの課題は残りましたが、今回は馬宮中の2年生が全員25位以内=上位20%に入るなど、全体としては満足のいく結果でした。
更にその黄金世代に続けとばかりに、2か月半前(テストの時点での話です)に入塾した1年生のMくんが34位から26位に順位を上げ、こちらはあと1ランクで上位20%に入るというすごい結果を出してくれました。ちなみに1年生も2年生も5教科受験者数125人だったので、25位で上位20%です。
お父さんからの最初のお問合せの際に、数学が苦手教科になりつつあるので、今のうちに対策し苦手意識を除きたいというようなことを聞いていました。
苦手といっても平均点はかなり超えていて、偏差値でいえば60ぐらいはある印象です。その状態ですぐに対策を行おうと考えるあたり、お父さんのMくんに対する厳しくも温かい思いを感じることができます。
こういったご家庭が当教室を選んでくださったことをとても嬉しく思います。ましてやご自宅から4kmも離れたこんな小さな塾を見つけてくれたのですから、より身が引き締まります。
何年も使っている教材なので、生徒が質問してくるポイントは分かっています。問題を見ただけで、過去に質問してきた何人かの生徒の顔が浮かんでくるような問題もあります。今回そんな問題にMくんが挑む番がやってきました。
必死に取り組むものの今一歩正解への道がつながらない問題で、Mくんからの質問に答えます。その問題については、ある重要なポイント一点だけ気づくかどうかというタイプのものでしたので、一言で解決しました。
大事なのはその次、同様の問題が出たときにその知識を応用できるかです。
分かりやすいように簡単な例を出しますが、2x=8という問題の場合は両辺を2で割って、x=の形にする必要があります。この「両辺を2で割る」ということを「xの係数をなくす(1にする)ため」と理解できているかどうかで、次の問題に対応できるかどうかが決まります。
3X=27という問題でも、先ほどの解法が抽象化できていない場合「両辺を2で割る」という行動に出てしまいます。大事なのは2で割ることではないのは言うまでもありません。
今までにそれを解けた生徒は一人だけという超難問にMくんが差し掛かりました。質問が来るだろうな、と構えていた私の予想は外れ、何分かけたかは定かではありませんが、Mくん自身の力で見事に正解を出すことができました。
数学が苦手になりつつある…という心配は、すでに過去のものになったとこのとき確信しました。これが勉強するということだという瞬間を見せてもらった気分です。
そしてMくんの努力は、すぐにテストの結果に表れました。
今回は平均点が10点以上下がる中、初の80点台にして平均点の倍近い点数を叩き出すという大躍進ぶりで、いきなりの任務達成です。
すべては本人の努力のおかげですが、私としても頼まれたことをきっちりと遂行できたという満足感を得られました。
当教室では、演習の時間を増やすことこそ唯一の学力を上げる方法だと考えています。
ですが、時間「だけ」でどうにでもなるわけでもありません。
勉強というのは知識を身につけることだけではなく、身につけた知識を自由に使えるようにすることが重要です。知識を伝達するだけで済むのなら、中1の方程式の範囲は紙ペラ1枚渡せば終わりです。
失敗も成功も含めた「体験」こそが勉強で、それには時間がかかります。時間をムダにするのではなく、「体験」に時間を使うことで知識を活かすことができるようになるんです。
特に算数・数学において、公式をおぼえて使うだけではただ数字を当てはめているだけで何も理解できません。
自分の力で公式を導けるようになって、初めてその公式の意味が理解できたといえます。
前回「親ガチャ」というものについて書いたのですが、あとで読み返してみると、子ども側の視点から「そんなものは関係ない」という考えを一方的に述べるだけに終始してしまいました。
ですが、親の立場になってみれば当然ながら子どもにできるだけいい環境を与えてあげたいと思うでしょうね。
それこそ「親ガチャだからあきらめろ」というような親であってはいけないです。
自分が勉強してこなかったからといって子どもの教育もあきらめて、論理的にものを考えることをできなくさせてしまった結果、その子どもは他人からのアドバイスの意味すら分からずに中傷ととらえてしまう…なんていう悲しいスパイラルもたくさん見てきました。
自分で首を絞めておいて「うちの子どもが息してない」と騒ぐのなら、まずは首を絞めるのをやめるべきです。
ただ、そんな環境だとしてもあきらめずに努力することは大事だと思います。
ほかに大した取り柄のない人類が、頭脳だけを武器に何万年も生き延びてきたのは、間違いなく先人たちの努力あってこそのものです。そして我々は、間違いなくその偉大な先人たちの子孫です。
ここ2代や3代がどうであろうと、それ以前の世代からの黄金のバトンをわざわざ掴み損ねる必要はありません。
今回、子どもに良い人生を送ってもらうためにしっかり考えてくれているお父さんに出会えたことは、私にとっても大きな財産になりました。次は英語の対策を、というご相談を受けて微力ながらいくつかの提案をさせていただき、気を引き締めて次のテストに臨みます。
今後もこのようなご家庭に選んでいただけるよう真剣に努力していこう、と改めて考える機会を与えてくれた保護者様に感謝します。