Always late, always late
(いつも遅れちゃう)
Yes, it's always the same
(そう、いつも同じ)
”Procrastination” is my middle name
(みんなに「遅刻魔」って呼ばれてる)
But the rest of the world is ahead of the game
(でも、僕以外の世界が一歩先を行ってるから)
And that's why I'm always late
(それでいつも遅れちゃうんだよね)
Utopia ”Always Late”より
ある日ホワイトボードに「procrastination」という単語を書いて、中2の生徒に読めるかどうか聞いてみました。ちなみに日本生まれの日本育ちで公立小学校から公立中学校に進んだ生徒で、習い事の経験はなく、当教室以外の塾に通ったこともありません。
おそるおそる…という感じではあるものの「プロ…クラスティ…ネーションだと思いxxxx」語尾は聞こえなかったのですが、読めました。
この単語はweblioではレベル18、推定語彙数11,001~12,000の専門家(あくまでweblio内での称号みたいなものです)のレベルの単語とされています。
どうして読めるのか聞いてみると、「だって、そう読むしかないじゃなxxx」とのこと。語尾は聞こえません。
「習ってないから読めません」ではなく、今までの知識を活用していちばん蓋然性の高い読み方を考えてくれたことが、まずうれしかったです。
次いで、「日本語では霧という意味のフォグという単語があります。3文字です。書いて」と問題を出すと、習ったことも聞いたこともない単語だそうですが、こちらも見事に正解しました。fogです。
どうして書けたのか聞いてみると「いや、だって、それ以外xxxx」よく分かりませんが、ほかにどう書けというのかと、多分そんなことを言っていました。
こちらも持てる知識を活用して、おそらくこれしかないだろうという答えを出してくれたのだと思います。「習ってないから書けません」とは言いません。
英語がとても得意な子です。それは間違いありません。
生まれつき才能があるのか、元々優秀だったのかは知りません。私に言えるのは、今までに見た中でもトップクラスの努力家だということぐらいです。あと声が小さいということぐらい。
単語が覚えられない、読めない、書けないというケースについて、冷たいようですがどうしても思うのは、努力が足りないということです。
一つコツのようなものがあるとすれば、発音と文字の結びつきを意識することぐらいでしょうか。コツと言うほどの大した話ではなく、真面目に取り組んでいる生徒なら自然に気づくことですね。
先ほどの二つの単語の例も、文字から音を、音から文字を探る問題になっています。
フォグという発音の3文字という問題に対して「aaaからzzzまでの組み合わせがあるから、正解率は17,576分の1か…」と思ってしまうようでは、ダメです。いや、計算すごく得意なんだなとは思いますけど。
発音と文字を結び付ける際に重要なキーになってくれるのは、当然ですがローマ字の知識です。もちろん日本国内の話ですよ。外国のことは知りません。
フォニックスという考え方もありますが、基本的にローマ字の知識があったうえで、そこからはみ出す特殊な読み方をしっかり覚えていけば十分なのではないかと思います。
きちんと勉強すれば、たくさんの単語を見ていく中聞いていく中で、どの文字がどのような音になるのか、帰納法的に自分の頭の中で自然にまとまっていきます。
ローマ字が苦手なら、まずは努力してそれを克服すればいいだけです。やらないからできないというのは至極当然のことで、悩むようなことではありません。
苦手なことを努力して克服しないで、ほかにどうするというんでしょうか。
私は能力というものは努力の積み重ねだと思っています。
才能がないからできない、能力がないからできない…。
今までに何度かそんな言葉を聞いてきました。
誤解しないでいただきたいんですが、決して専門家レベルの単語を読めるかどうかみたいな話ではないです。そんな厳しいことはよほどの努力家にしかやらせません。
「あいつは才能があるからできる、俺は才能がないからできない」
ほかの誰かの努力を自らの怠慢の言い訳に使うのは、かなり無理があると思います。
最近の風潮で「誰も傷つけない」というようなものが人気ですが、「できなくていい、努力しなくていい」と思ってる人は、少しぐらい傷ついたほうがいいんじゃないかと思います。少しはがんばりましょうよ。誰も傷つけない世界で甘ったれているうちに、取り返しのつかないことになってしまったら大変ですよ。
「足が遅いからいつも遅刻してます」と言われて「遅れていいんだよ。そんな君も素晴らしいよ」と言うのが優しさなのか、「わかってるなら10分早く出ろ」と言ってやるのが優しさなのか。
もう一度書きますが、苦手なことを努力して克服しないで、ほかにどうするというんでしょうか。
誰も傷つけないユートピアは、もしかしたら誰も成長できないディストピアかもしれません。未来ある子どもたちの世界がそんなものになってしまわないように、私は私にできることを、今日も粛々と行います。
P.S. 文中の英語が得意な生徒、中学生として5回目のテストで4回目の5教科学年1位をとりました。(5/29追記)