多くの人が誤解しているなあ、と感じることがあります。
「英語は難しい」という思い込みのことです。
難しく考えるから難しく感じるだけなんじゃないかな、と思ってしまいます。
あくまで中学校レベルの話ですけどね。
たとえば、日本語で感謝の気持ちを述べるときに
(いやぁ、とても嬉しいことをしてもらったな。こんな素晴らしいことは滅多にあるもんじゃない。このようなことが「ある」こと自体が難しいことだ。つまり「有り難い」ことだな。だから「ありがとうございます」って言うか。)
などと考えることはないですよね。
同じように英語でも
(感謝の気持ちを伝えるぞ。わたし、つまり "I" は感謝している。 "thank" しているわけだ。現在形で一人称だからそのまま "thank" でいいぞ。そして感謝している対象は話している相手だから、目的語は二人称の "you" で、ええと、目的格は…そのまんま "you" だな。だから "I thank you" って言おう。いやいや、ちょっと待て。この場合は慣例的に主語を略すのが普通だな。よし! "Thank you" って言うぞ。)
とか思いながら話す人はいません。
こんなことをしていたら難しく感じて当然ですよ。
「ありがとう」だとか "Thank you" だとか、こういうレベルのことは考えなくても自動的に言えるのが普通です。
そして中学校レベルの英語なら、すべてこのレベルに持っていけるはずです。
ある映画の冒頭のシーンから、子供同士のとても簡単なやり取りを紹介します。
うろ覚えなので少し違うかもしれませんが、レイチェルちゃんという女の子をブルースくんという男の子が追いかけています。レイチェルちゃんは手に何かを持っているようです。
ブルース: Rachel, let me see! (レイチェル、見せて!)
レイチェル: Finders keepers! (見つけた人のものだよ!)
ブルース: In my garden. (僕の家の庭でね。)
(このあとレイチェルちゃんの手からブルースくんが何かを奪って、"Finders keepers!" と言いながら走っていって井戸に落ちます。)
一行目は、難しく考えると・・・使役動詞の "let" に代名詞の目的格と動詞の原型を並べて「誰々に何々をさせる」という文章ですが、そんなふうには考えずに「"let me see" は "見せて" っていう意味」とおぼえておけば、このフレーズは使えます。便利なヤツです。一時期はやった「レリゴー」もこのパターンですね。
二行目は正確には "Finders are keepers" だけど、慣例的にareを省略しているのでしょう。finders(見つけた人)= keepers(所持する人)だ、と言っているだけです。
自分ひとりのことなのに複数形なのは、おそらく「一般論としてこうですよ」というようなことを言っているのだと思います。細かいことは知りませんが、この表現もよく使われるので、ゴチャゴチャ考えずにおぼえてしまいましょう。
三行目は、レイチェルちゃんの「わたしが見つけた」という主張に対して「(きみがそれを見つけたのは)僕の家の庭で」ということなので "You found it" ぐらいの内容が省略されているのでしょうか。こういう感じの言い方もおぼえておくと、いちいち「○○が××したのは」などと何度も言わなくて済むので便利です。
うん、難しく考えるのは面倒くさいです。
最終的には全部「おぼえておくといいですね」みたいになってしまいました。
いや、「なってしまいました」も何もただの言葉ですから、おぼえておけば使えるのは当然ですよね。逆に言えば、おぼえていなければ使えなくて当然です。
そして、自分で使えるフレーズなら、多少スピードが速くても当然のように聞き取れます。たくさんのフレーズをおぼえておくことこそが、最大のリスニング対策です。
こんなふうに、使えるフレーズを少しずつ増やしていけばいいだけなのに、ほとんどの人がそうしようとしません。
そして、やらない人に限って「英語は難しい」とか言います。
そりゃあそうでしょう。
戦わない人間が勝てる相手なんて、どこにもいませんよ。
中学校ぐらいのレベルなら、やる人とやらない人の差が、できる人とできない人の差に直結します。
どちらがいいかは自分で選んでください。
やると決めたらやればいいだけ。
やらないと決めたらやらなければいいだけ。
簡単ですね。