もう何年も前のことです。…いや、何十年も前のことです。
中学校の夏休みの宿題として、ポスターを描くという課題がありました。
学校というところは、なぜか隙あらばポスターを描かせたがります。好きなのかな、ポスター。
そのポスターを友人の家で一緒に描くことになりました。子供のころの私はほんの少し絵が得意なほうだったので、多少なりとも友人にとってプラスになるとあてにされていたのかもしれません。
しかし描き始めてビックリ。その友人は明らかにやる気がなく、とにかく終わらせさえすればいいというような感じで適当に線を引いていきます。
いや、ちょっと待ってくれ、なんだそれは、と私。そこで彼は「才能がない」から適当にやるのだ、と言いました。
たかが中学校の、たかが夏休みの宿題に、才能なんて要らないよ。と私は思いました。
そのことをどう伝えたのか、または伝えなかったのか憶えていませんが、そのあと少しだけ絵の描き方を説明して少しはマシなものを描くのに貢献できた記憶はあります。
絵の描き方の説明などと言うと大層に思えるかもしれませんが、四角いものはまっすぐな線で描く、とか遠くのものは小さく描く、とかいうレベルの話です。
もちろん才能なんて関係ない話です。本人が簡単なことすら理解していないだけのことです。
こういうことが宿題のポスター以外でも頻繁に起こっているように思えて仕方がありません。
「俺には英語の才能がない」
「私には数学の才能がない」なんて思っていませんか?
違います。才能なんて要らないんです。
この国が、たかだか15歳までの子供たちに、義務教育として、才能がなければできないようなことをやらせると思いますか?
まずは基本を理解しないとそれ以上のことはできないというだけ。ただそれだけの簡単な話です。
いきなり難しいことをやろうとするから、才能がないように感じるだけです。
だから理解しましょう。基本からコツコツと。
小さなステップでいいんです。
才能がないからあきらめるって、本当はかなりレベルが高くないと言えないことです。
「高橋由伸と出会って自分の才能の限界に気付いてプロになるのをあきらめた」って私が言ったとしたら、どう思います?
それなりには野球やってた人なんだな、と思いますよね。
実際には野球やったことありません。だからそういうことは言いません。
ちなみに私が少年時代に少しだけ絵が得意だったのは、小さいころに漫画ばかり読んでいたからです。
別に才能があったわけではなく、漫画を真似して描いているうちに少しずつ基本みたいなものが身についたのだと思います。
しかしなんなんだ、ポスターを描く課題って。大人になってからポスターなんて描いたことないぞ。…と書こうと思ったのですが、何度か頼まれて近所のゴミ捨て場などのポスターを描いていたことを思い出しました。
まだ使われてました